今回は、宇部市万倉で農業を営む、宇部の名産「万倉なす」生産部会長の西村さんのお宅に訪問。
生産に対する熱い想いを圃場内で語る西村さん
西村さんは就農7年目でなすと水稲をメインに栽培。
「万倉なす」はブランド名であり、品種は「大成なす」という、皮が柔らかくて食べやすいメリットがあり、デメリットは風痛みで秀品率(全体収量の中で良品が占める割合)が低い。
過去は、「万倉なす」生産部会に70軒の農家が在籍していたが、今では4軒まで減っているという現状。原因としては高齢化による離農はもちろん、収支が合わないことも大きな要因である。
収支が合わない大きな要因としては、近年の気候変動による台風や豪雨のような災害による打撃によるところが大きいとの見解である。
そのため西村さんは、一般的な農家があまり手を入れない、リスクを最小化する取り組みとして、「天気や災害に左右されない圃場づくり」に注力している。
実は重要な災害対策の整った強い圃場づくり
就農4年目から本格的に強い圃場づくりを実現に取り組み始めた。
具体的には、防風ネットの導入やソルガム(ソルゴー)という背丈の高い作物を圃場内での栽培である。
また、「バンカープランツ(おとり植物)」という栽培方法を積極的に勉強しており、ソルガムは防風だけでなく、土に還って肥料となる上にアブラムシ対策にもなり、正に一石三鳥であるとのこと。
防風ネットとソルガムが導入された圃場
結果的に、就農7年目である今年は周りの農家が台風の被害で収量が激減している中、最高売上を達成している。西村さんの仮説と検証が数字で証明されたこととなる。
農業は改善の余地がたくさんある飽きることのない産業
西村さん自身、就農前は、エンジニアとしてのものづくりや機械の保全業務や資材調達のコスト管理など、生産だけでなくお金の動きを見られていたという事もあり、生産効率化を実現する費用対効果を意識したアイテムの発明を日々楽しみながら、実施されている。
圃場の外から肥料など重い資材を滑らせて運ぶアイテム
重要なABテスト検証
特に驚いたのは、露地栽培で環境変化の大きい圃場内でABテスト検証を実施している点である。
今回の比較検証内容は、防風ネットの導入数量の違いによる、株あたり収量への影響である。
結果としては、圃場の長手方向だけでなく、数mおきに妻面と並行で防風ネットを導入する方が収量が圧倒的に多いという結果である。
毎朝がワクワクの連続
このように、毎朝、早起きして、何の比較試験をするか、どのようなアイテムを開発したら作業量が減って反収がアップするか、楽しみながら妄想にふけっているとのこと。
農業は変数が多く、場所が変われば前提も大きく変わってしまうため、飽きることがなく、ずっと新たな挑戦者の気持ちで取り組める点がとても楽しいという言葉が印象深かった。
62歳でも、尚、挑戦者として夢や希望や熱意を語る西村さんの姿勢には触発されっぱなしであった。
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